統合作戦司令部が発足 関係法令にほとんど記載のない謎の組織だが伝わってくる防衛省の本気度

自衛隊を一元的に指揮する司令部が発足

3月24日に統合作戦司令部、通称JJOC(ジェイジョック)が発足しました。
すでに関連する多くの報道がありましたが、この司令部は陸海空自衛隊のほか、共同の部隊である自衛隊サイバー防衛隊を一元的に指揮し、
さらに、米軍など他国のカウンターパートとの連絡調整も担うとされています。

常設の統合作戦司令部がなぜ必要だったのか?
そのきっかけとなったのは東日本大震災。
このとき、統合幕僚長が大臣補佐と自衛隊の一元指揮の二つの役割を担ったのですが、負担が集中しすぎたことが問題視され、
「大臣補佐機能と指揮機能を分けましょう」ということで、部隊指揮に専念する統合作戦司令部が設立されたとのこと。
報道によると、これまであった統合幕僚監部の一部の機能が分離されたとのことですが、この司令部は何をどこまでできるのか?
平時には何をやっているのか?
色々気になりますね。
そんな時は、防衛省の各機関などの所掌業務を定めた関係法令をあたってみるのが一番なのですが、
調べてみると意外なことが・・・

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関係法令にはほとんど記載なし

部隊という位置付けで抑制的な記載内容

何が意外だったかというと、何とほとんど記載がない(笑)
唯一見つけられたのは自衛隊法に以下の記載があったこと。

(編成)
第二十一条の二 陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊として統合作戦司令部を置く。
2 前項に定めるもののほか、陸上自衛隊、海上自衛隊又は航空自衛隊の防衛大臣直轄部隊(陸上総隊、方面隊、自衛艦隊、地方隊、教育航空集団、練習艦隊、航空総隊、航空支援集団、航空教育集団及び航空開発実験集団を除く。)は、統合運用による円滑な任務遂行上一体的運営を図る必要がある場合には、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の共同の部隊として置くことができる。
3 前二項の共同の部隊の運用に係る防衛大臣の指揮は、統合幕僚長を通じて行い、これに関する防衛大臣の命令は、統合幕僚長が執行するものとするほか、当該部隊に対する防衛大臣の指揮監督について幕僚長の行う職務に関しては、防衛大臣の定めるところによる。
(統合作戦司令官)
第二十一条の三 統合作戦司令部の長は、統合作戦司令官とする。
2 統合作戦司令官は、防衛大臣の指揮監督を受け、統合作戦司令部の隊務を統括する。
3 防衛大臣は、第六章に規定する行動、第百条の五第一項に規定する国賓等の輸送、防衛省設置法第四条第一項第十八号に規定する調査及び研究のうち運用に係るものその他の自衛隊の運用に関し、統合運用による円滑な任務遂行を図る必要がある場合には、自衛隊の部隊の全部又は一部を統合作戦司令官に一部指揮させることができる。

出典:e-GOV 法令検索 自衛隊法

まず、ここで分かることは、「司令部」なので「機関」ではなく「部隊」であるということ。
機関とは、内局や統合幕僚監部などを指します。
これらの組織は、防衛省設置法や防衛省組織令に所掌事務が記載されていますが、統合作戦司令部は部隊ですので、
これらの法律によって役割や権限は定められないようです。

また、統合作戦司令官の職務は「司令部の隊務を統括」とあります。
隊務とは部隊における事務仕事のようなもの。
この取りまとめが、自衛隊法にまず記載されている司令官の職務になります。
そして肝心な統合作戦の指揮に関しては、防衛大臣は「必要がある場合」に「自衛隊の全部又は一部を統合作戦司令官に一部指揮させることができる」と書かれています。
つまり、統合作戦だからといって常に統合作戦司令官が指揮するものではないこと、そして、作戦の全てではなく一部の指揮だけができるということ。
個人的には、かなり抑制的な書きっぷりだと思います。

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作戦計画は統合幕僚監部が引き続き作成?

自衛隊では、一般的に司令部が作戦計画を作成し実行します。
しかし、防衛省設置法(令和7年4月1日施行)に書かれた統合幕僚監部の所掌事務を見ると、
・統合運用による円滑な任務遂行を図る見地からの防衛及び警備に関する計画の立案に関すること。
行動の計画の立案に関すること。
とあります。
つまり、作戦計画は統幕が、その実行は統合作戦司令官が、ということになろうかと思います。
では、統合作戦司令部は普段何をやるのか?
疑問に感じたのでその組織編成から読み解こうとしたのですが、これもどこにも書かれてない(笑)
防衛省ホームページの訓令・逹などの検索サイトで探しても見つかりませんでした。
しかし、3月25日の人事発令から、以下の部門から成り立っていることがわかります。
(司令官、副司令官を除く)

  • 情報部(第1課、第2課)
  • 作戦部(企画課、第1課、第2課、訓練課)
  • 後方運用部(後方運用課、衛生運用課)
  • 総務官
  • 通信運用官
  • 法務官

班長級の人事も公表されており、それを見る限りは統合幕僚監部をコピーしたような組織になっていることが分かります。
これは想像ですが、自衛隊の統合作戦計画そのものは政治的な判断もあるので、大臣補佐機能としての統幕が担うことにしたのではないでしょうか。
では、オペレーションがない普段は何をやる組織なのか・・・
訓練だけ?
ますます気になりますね。

「運用」ではなく「作戦」から伝わる本気度

かなり抑制的な権限であったり、普段何をやっているのか謎だったりしますが。
この司令部を「統合運用司令部」ではなく「統合作戦司令部」としたことに防衛省の本気度が伺えます。
今までは「運用」というソフトな表現で、何となく誤魔化してきたような印象があったので。
まだ発足したばかりでなので、おもてに出てくるのは設立に関するニュースがほとんどですが、
今後どのようにその機能を発揮していくのか。
注目しましょう。

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