ニュース解説:自衛隊が沖縄に南西防衛集団創設〜限られたスペースの中での訓練環境の整備が今後の課題

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沖縄の「旅団」を「集団」に格上げ

12月3日にネットニュースで報じられていましたが、自衛隊は沖縄の第15旅団を南西防衛集団という、師団と旅団の中間の規模の部隊に格上げするようです。
以下、産経新聞の記事。

防衛省が、沖縄県を中心とした南西諸島防衛を担当する陸上自衛隊の第15旅団を師団に準ずる「南西防衛集団」に格上げすることが3日、分かった。現在の1個普通科連隊から2個に増強する。旅団長も陸将補から陸将に格上げして司令官とする。
(中略)有事に備え、弾薬や燃料の保管施設も新設したい考えだ。

出典:産経新聞記事〜陸自、沖縄部隊格上げへ 旅団から「南西防衛集団」に

普通科連隊が1つ増えて、現在の2,500人規模から3,000人規模になるようです。
これは南西諸島の地積を考えるとかなりの増員です。
でも、一方で次のような報道もありました。

引き続き、那覇駐屯地を拠点とし、新たな用地取得などは行わない見通しだ。

出典:読売新聞オンライン〜陸自に「沖縄防衛集団」創設へ…「師団」と「旅団」の中間の3000人規模

部隊が増えるとなると、当然、隊員数が増え、車両や小銃、重火器類も増えるので、既存の施設で賄うことは物理的に難しく、駐車場や武器庫の拡充が必要になってきます。
また、新しく配置になる営内隊員の居住施設、営外者の官舎のほか、隊内食堂、浴場の拡充も必要になるでしょう。
報道にあるように、新たな用地取得を行わないとなると、スペースを横に広げるのではなく、縦に伸ばしていくのかもしれません。
例えば、立体駐車場を作るとか、官舎や隊舎の高層化とか。
その辺は用地取得がなくてもなんとかなるかもしれません。
それに、新設される普通科連隊の全てが沖縄本島に配置されず、石垣島などに分散配置される可能性もあります。
冷戦時代、北海道のいろいろな駐屯地に、方面直轄の戦車中隊が配置されていましたが、そんなイメージです。
でも、一番の課題は「訓練環境をどうするか?」だと思います。

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訓練環境の整備は難しい

沖縄本島のみならず、南西諸島に展開する陸上自衛隊共通の課題は、演習場の確保ではないかと思います。
Google mapで見る限り、本土にあるような大きな演習場は見当たらず、代わりに那覇駐屯地や宮古島駐屯地の敷地内に訓練スペースを確保しているように見受けられます。
大きさから推測すると、1コ普通科中隊規模の演習も満足に行えないように思えます。
もちろん、普通科部隊とその他の職種部隊との協同演習も厳しいでしょう。
また、九州本土などから来た増援部隊との協同作戦を実働訓練で行う場合、規模をかなり縮小する必要があります。
射撃訓練に関しても同じ。
射場はあるにはありますが、基本的な射撃訓練しかできないと思います。
沖縄本島には、米軍も使用する演習場がありますが、部隊の数が増えると訓練が競合し、演習場の確保が難しくなるかもしれません。
その解決策として、九州本土の大きな演習場への転地訓練が一案として考えられますが、沖縄本島を含む離島守備部隊は、平素の警備も重要な任務だと思うので、島を空っぽにするわけにはいかず、部隊全力での訓練は難しいかもしれません。
いざという時に、陸上自衛隊の部隊が持てる力を全力で発揮するためには、本番を想定した訓練が欠かせません。
訓練環境の整備という課題をどのように解決していくのか?
要注目です。

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