陸自の戦術:お互い前進中に遭遇したらどうする? 遭遇戦編

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今回は相手と自分が前進中に起こり得る、遭遇戦について解説します。
これを企業間の戦いに置き換えると、相互に狙った市場で鉢合わせてしまうようなものでしょうか。
そんな場面を想像しながら読んで頂ければ、理解が深まるかと思います。
ちなみにこの記事は、陸上自衛隊の戦術教範(教科書)である、野外令の記述に沿って執筆しています。
これは一般には販売されていませんが、国立国会図書館で昭和43年版を閲覧することができます。

遭遇戦で最も重要なことは「先制」

遭遇戦は相手とこちらがほぼ同等の戦力で、同じような態勢で相互に前進中に生起します(下図参照)。

もし、どうちらかの戦力や態勢が圧倒的に不利だったら、遭遇した途端に撃破できてしまうので、遭遇戦として頭を使う要素はありませんよね。
この遭遇戦において重要となってくるのは「先制」です。
つまり、先に相手を抑え、こちらが自由に動ける有利な状況を作ることです。

先制のために重要なこと

相手より先に有利な状況を作るためにまず大切なのは、相手や戦場となる地域に関する情報を入手すること。
そして、入手した情報をもとに戦い方を考え、速やかに戦闘準備を行い、戦場となる地域内にある重要な地形を確保して有利な態勢を確立すること。
ここまでがスムーズにできれば、あとは砲迫火力(大砲や迫撃砲の火力)などを発揮し、戦闘の初動から戦勢を支配してしまえばこちらのものです。

遭遇戦の戦い方

掩護部隊がキーマン

遭遇戦が予想される場合は、先ほどの図のように部隊を掩護部隊と主力に区分して、掩護部隊を先遣させます。
遭遇戦では、この掩護部隊がけっこうなキーマン。
相手との接触が切迫してくると、掩護部隊が積極的に動いて敵情と地形に関する情報を収集して主力に伝え、自らは戦場の重要な地形を占領して、主力の攻撃を有利にする状況を作っていきます。
これがうまう行くかどうかで、その後の戦いが決まってしまうと言っても過言ではないでしょう。
しかし、相手も同様のことを考えてくるので、掩護部隊同士が対峙するような状態になるのが普通ですが。

主力の戦い

掩護部隊の掩護下に主力同士の戦闘が始まります。
この時に最も大事なことは、相手に戦闘準備の時間を与えないように、こちらが迅速に戦闘に加入し、遠距離からの火力を発揮して敵の戦闘展開を妨害することです。
遭遇戦で最も重要なことは、冒頭に書いたように「先制」ですからね。

主力をどう戦闘加入させるかが悩みどころ

主力の戦闘加入には統一戦闘加入と逐次戦闘加入の2つがあります。
統一戦闘加入は、主力を構成する部隊全ての準備を整えてから、一斉に戦闘を開始する方法。
この方法であれば、主力部隊の戦力を組織的に発揮できるので、最も効果的に戦うことができます。
それ故、まず追求すべき方法なのです。
しかし問題は、戦闘準備に時間を要するということ。
先制の利点は、時間の経過とともに減少していくという特性があるので、相手とこちらの戦闘準備に要する時間を考慮しなければなりませんね。
なので、もう一つの戦闘加入方法として逐次戦闘加入があります。
これは、相手に準備させる時間を与えないよう、到着する部隊を次々に戦闘加入させるものです。
しかし、総合戦闘力の発揮が不十分となったり、戦況を見誤って逐次戦闘加入させると、部隊が各個に撃破されてしまうという危険性もあります。
逐次戦闘加入は、相手の弱点を捉えてそこを迅速に攻撃する場合、掩護部隊の戦闘がこちらに有利で、戦闘の終始を通じてその優勢を確保できる見通しのある場合など、限定された条件下でしか成立しない方法であることにご注意下さい。

いかがだったでしょうか。
戦場を市場に置き換え、重要な地形を顧客や商材に置き換えたりすると、企業戦略にも応用できるかもしれませんね。
皆さんのご参考になれば幸いです。

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