組織と部下をダメにするマイクロマネジメント〜やってしまう人の3つのパターン

日本人はマイクロマネジメントを求めている?

先日、卒業式でのマスク着用について、政府が指針を発表したとのニュースがありました。
一国の政府が、数多ある学校の卒業式で、マスクを着用するか否かを検討するのはいかがなものかと思いますが、一方で、自治体や学校サイドから「指針を示せ」との要望があったのではないかと想像します。
他にも、大企業の経営者が現場に行き、詳細な指示を出していることを称賛するような番組があったり。
これらを目にすると、「日本人って、マイクロマネジメントされるのが好きなのか?」と思ってしまいます。
確かに、重箱の隅をつつくようなことにまで気にかけつつも、大きな判断をテキパキとこなしていくマネージャーは頼れそうで、魅力的にも感じますね。
でも、そんなことができる人は相当特殊な能力を持っている人。
普通の人が真似すると、部下の成長を阻害し、さらには組織に害をなしてしまうことも。
そうならないために、今回の記事では、僕の自衛隊での経験から導き出した「マイクロマネジメントの心理パターン」について書いてみたいと思います。
あなた自身、またはあなたの職場でも当てはまるかもしれませんよ。

陸自では2ランク下の部隊が基準

自衛隊では、階級が上がるにつれ、細かな判断は少なくなって行きます。
でも、一つ一つの判断の重みはハンパないくらい大きくなっていきます。
なので、上級幹部は些細なことに気を取られていてはダメなのですが、一方で、現場のことに思いが至らないようでは適切な判断はできません。
だからと言って、1万人規模の隊員を率いる師団長が、一隊員の些細なことまで把握しているようでは、職責に見合った判断ができなくなってしまいます。
このため、陸上自衛隊の戦術教育では、「2ランク下の部隊を基準に」と教えています。
つまり、師団長であれば中隊クラス、連隊長であれば小隊クラスの部隊の状況を考慮しつつ、作戦を立てたり状況判断をしなさい、ということ。
もちろん命令や指示は、自分の直下(1ランク下)の部隊長に対して出します。
これは戦術に限らず、自衛隊のあらゆる業務に適用できる基準です。

幹部教育で基準を叩き込まれ、部隊や司令部などでこれを実践するので、ほとんどの人は職責に見合ったマネージメントができるのですが、やはり中にはマイクロマネジメントに走ってしまう人も。
僕が現役自衛官の頃、度々そういう人に遭遇してきました。
また、会社員になってからもそういう管理職の人を目することがありますね。
そんな人を観察し、自分なりに分析すると、マイクロマネジメントは「部下不信」、「俺知ってるぜ」、「親切心」の3つのパターンに集約されると感じました。

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マイクロマネージャーの3パターン

部下不信タイプ

これは分かりやすいですね。
部下に対して常に疑心暗鬼なので、任せるよりも細部まで全て指示を出さないと気が済まないタイプ。
この手の人は、部下の手持ち資料的な内容まで全部自分で把握しようとします。
時には、部下のカウンターパートに自ら問い合わせたりすることも。
本来は、信頼できる部下に育て上げるのがマネージャーの仕事の一つですが、人を育成する能力が低いと、このタイプになりがちだと思います。
そして「あいつが成長しないから、信頼して任せられないな〜」と愚痴をこぼすのです。

「俺は知ってるぜ」を見せたいタイプ

現場での経験が長かったり、特定の分野に対する知見が豊富だったりすると、この種の人になりやすいと思います。
本来、部下自身が「何をいつまで、どうやって」を考え、実行しながら修正していくべきところを、先回りするように細かく指示したり、あるいは「これ、知ってたか?」とトリビア的な知識を披露したり。
部下に対してマウントを取りたい気持ちもあるのかもしれません。
また、上司に対しては「私、ここまでしっかり把握できていますよ!」を見せることで、いかに自分が仕事熱心かをアピールしたいのかもしれません。
このタイプは、部下や組織のことよりも「自分」が第一。
部下からも上司からも、自分を認めてもらいたい気持ちが異常に強い。
そう思いませんか?

親切心タイプ

3つ目は、「部下の仕事がうまくいくように」とか、「余計な苦労をさせないように」という親切心から、事細かく支持するタイプの人。
実は、上記2タイプよりも、この手の人が一番厄介です。
なぜなら拒否しづらいから。
部下不信は育成能力の低さの表れで、マウント取りたい人は自分本位。
部下からすると、この2タイプに対しては面従腹背という選択肢があります。
しかし、親切心からくるものはそうはいきません。
細かい指示に対して、最後まで付き合う羽目になってしまい、部下の貴重な時間が削られていきます。
仮に部下が「私は大丈夫です。自分で考えてやってみます」と言っても、「俺の指示が不十分で、部下に伝わらなかったかな?」と、さらに細かな指示を生み出す結果になることも。
このタイプに関しては、本当に対処のしようがありません。

一見仕事ができそうでできないマイクロマネージャー

誰も気づかないようなことに気づける人は、一見、仕事がすごくできそうにも見えます。
でも、こういう人を「仕事ができる人」と思ってしまうのは、あなた自身がマネージャーとして成長できていない証。
そんなマイクロマネジメントな人を見たときは、「彼の本来の仕事は何か?彼は部下組織をうまく使いこなせているのか?」ということに思いを馳せるようにしましょう。
そうすると、マイクロマネジメントの人は、その人の職責に見合った仕事ができていないことに気づくと思います。
管理職として大事なのは、大局を見極め、部下にポイントを押さえた指示を出し、判断に必要なことだけを報告させること。
これには鍛錬が必要です。
些細なことに捉われがちな人は、ぜひこれを意識してみてください。
きっと頼れる上司になれますよ!

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