こんなリーダーはダメだ!よくある5つの勘違い〜自らの「しくじり」を振り返る

一般的にリーダーに必要とされる要素

幹部自衛官になってからは、大小様々な組織でリーダー職を経験してきました。
その中で、リーダーの資質として「ブレないこと」、「柔軟であること」、「部下を信頼すること」、「厳格であること」、「即断即決」が必須だと感じました。
でも、その要素を勘違いして失敗することもけっこうありましたね。
今回は、そんな「しくじり」を振り返ってみたいと思います。

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しくじりその1:「ブレない」を勘違いして「意固地」になる

信頼されるリーダーであるためには、「一度決めたことを最後までやり抜く」という信念が必要ですね。
何かネガティブなことが起きても、決してブレることなく意志を貫き通す。
これは大事なことですが、「ブレない」にこだわり過ぎると「意固地」になってしまうことがあるから注意が必要です。
最初に決心した時の前提が大きく変化し、部下からも方針転換を迫る意見が多数出ているにもかかわらず、「俺はブレない」と、当初の方針を貫き通した結果、もう後戻りできないような大失敗に・・・なんてことも。
こうならないようするためには、節目節目で最初に決心した時の状況に立ち返ることが必要です。
「何を基準/前提に決めたことか?」、「予想される困難は何であったか」など、今一度思い出してみましょう。
仮に想定外のことが起きていても、「予期した結果にたどり着ける」と判断できるのであれば問題なし。
また、自分が見えていない部分を把握するために、部下の意見にもしっかり耳を傾けましょう。
部下からの意見に対してロジカルに反応できるようであれば、そのまま続行です。
当初の前提が崩れ去ったことを自覚したり、部下の意見に一理あると思えば、そこで躊躇なく方針転換。
これで「意固地」になることは避けられるでしょう。

しくじりその2:「柔軟性」を勘違いして「場当たり的」になる

しくじりその1の逆ですね。僕の場合、ブレない人への憧れが強すぎて意固地になってしまい、その反省から「もう少し柔軟性を持てるようにしよう」と考えました。
しかし、ここで勘違いしてしまったのですね〜
何か状況が変わるたびに、「やり方や方針をすぐに変えた方がいんだと」と。
また、「自分のこだわりを捨て、部下からの意見をどんどん取り入れよう」と。
これって、周りから見ると何の信念もポリシーもない、ただ場当たり的な人に見えてしまって、僕がこんな人の部下だったら、その上司を100%信頼しないですね。
でも、自分自身がそうなっちゃったんです。
「柔軟性がある」とは、部下の意見が自分の意見と異なっていても、それが良いものであれば採用するとか、最初に決めたやり方がうまくいかない場合は、アプローチの仕方を変えてみるとか、慣例に従わずに目的に合致した方法でやってみるとか、そういうことを意味しているのだと思います。
また、柔軟性を意識するあまり、安易に方針転換するのも慎むべきですね。
方針は余程のことがない限りブレてはいけない要素。
方針に従った行動や、目標達成のためのアプローチの手法には柔軟性を持たせる。
そうすれば、場当たり的になることはないと思いますよ。

しくじりその3:「信頼」を勘違いして「ほったらかし」になる

以前、このブログで士気について触れた時、「信頼は部下の士気を高める」と書きました。
これは事実だと思いますが、「信頼して任せる」=「ほったらかし」ではありません。
「そんなんこと、言われなくたって」と誰もが思うはずです。
でも、意外とそういう人は多いのでは。
僕の場合、部下に対して「信頼しているぞ」と言った手前、あれこれ指示せずに部下からの報告を待つようにしました。
その結果、部下はどうして良いか分からず路頭に迷うことに。
信頼しているのに、マイクロマネジメントみたいになるのは良くないと、そこばかりに意識がいってしまい、結果的に何の指導もせずにほったらかしになる。
もちろん、全てが順調に進んでいるうちはそれでいい場合もあります。
しかし、一見順調でも落とし穴があったりします。
それを事前に察知するためにも、部下に任せた業務の要点だけはしっかり把握しておき、節目節目で状況を確認して必要な指導はしなければなりません。
これは「部下を信頼していない」ということではなく、「信頼する部下の業務がスムーズに進むように」とか、「上司の関心事項をしっかり認識してもらう」という意味が強いので、部下にとっても悪い気はしないと思います。
むしろ、より一層信頼できる部下が育つことだと思いますね。

しくじりその4:「厳しさ」を勘違いして「パワハラ」になる

特に部隊で勤務している時ですが、隊員とその家族の運命を背負ってるというプレッシャーを強く感じます。
彼らに無駄な汗や血を流させてはいけないと。
そうすると、全てにおいて厳格な対応をしなければと思い込み、フランクに話すべき場面でも語気が強くなったり、選ぶ言葉もキツめになることもありました。
また、「厳しさ」を「絶対服従を求めること」と勘違いし、部下の意見に対して否定的な態度をとることも。
そんなリーダーには誰もついて行きたくないですよね。
そんな態度で部下と接していると、部下が心理的に遠ざかっていくのを感じ、「自分は部下のために厳格な態度をとっているのに何故? どうして分かってくれない? 部下は理解力が低いのか?」と度を越す自己肯定と部下不信に陥り、最終的には遠ざかる部下を否定する言葉を公然と吐く始末。
こうなると、もはや「厳しさ」ではなく、ただの「パワハラ」です。
「厳しさ」とは、人を否定することでも怒鳴り散らすことでもありません。
常にニコニコしていて、部下の意見に耳を傾ける人でも厳しさを感じることは多々あります。
つまり「厳しさ」とは、己や任務に対するものであり、対人関係に求めるものではないということ。
頭の中ではみなさん分かっているのです。
でも、実践するのは難しい・・・。

しくじりその5:「即断即決」を勘違いして「軽率」になる

僕は元々戦車乗り気質です。
戦車の戦闘は、普通科(歩兵)に比べて浮動状況であることが多く、予期しないこと多発するので、その場その場で即断即決を求められます。
「考えている暇はないから」と軽率な判断になることもしばしばありました。
民間でも、今のビジネスのテンポは昔に比べて格段に速くなっているので、即断即決を求められることが多いのではないでしょうか。
そんな時に「軽率な判断」にならないようにするためには、しっかり軸足を定めておくことが大事かと思います。
つまり、判断基準を明確に定めておくということ。
そうすれば、本当の意味での「即断即決」ができるようになりますよ。

おわりに

いかがだったでしょうか?
幹部自衛官経験者でも結構なしくじりがあり、そこから学びながらやってきたことが伝わっていれば、この記事の目的は達成です。
日々現場で苦労されている管理職の方々の参考になれば幸いです。

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