できるリーダーになるためには〜リーダーになる前に徹底したフォロワーシップの経験を積むことも大事です!

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最初からリーダーはいない?!

本屋さんで見かけるリーダシップ本のほとんどは、リーダーになってからのことが書かれています。
「理想のリーダーは」とか、「リーダーとしての心得」とか、そいう内容のものが多いですよね。
でも、「リーダーになる前にどんな経験が必要か?」はあまり語られていないように思います。
一般社会においては、最初からリーダーだというのは稀で、チームの一員として上司を補佐することから始まるのが普通ではないでしょうか。
この時の立場は、いわばフォローワー。
そして実は、このフォローワーとしての経験は、リーダーになった時の振る舞いに大きな影響を及ぼします。
そこで今回の記事では、できるリーダーになるために経験しておくべき"フォローワーシップ"について書きたいと思います。

フォローワーシップとその要素

そもそも、フォローワーシップとはなんでしょうか?
ネットで調べると色々とヒットしますが、僕自身の経験を踏まえて考えると、「上司を補佐する」に集約されると思います。
この「上司を補佐」にはさまざまな要素が含まれますが、以下の4点が重要なポイントだと思いますね。

①組織としての目標に対する上司の考えを理解する。

これがなければ上司の補佐はできません。
まず、上司の意図、目指す方向を十分に理解することが必要です。
曖昧な表現だったり、自分の解釈に自信がない時には、上司との対話(質問など)で理解を深めていきます。
もちろん、「何やりたいのか理解できない」みたいな聞き方ではなく、「私はこのように理解しましたが、それで合っていますか?」のように。

②意見具申をする。

実行の方策について、自分なりのアイデアがあれば上司に意見具申してみます。
もちろん、全ての意見が採用される訳ではありません。
その時は、謙虚にそれを受け止めて、上司の意図を全力で理解し、実行する手段を考えなければなりません。
ここはフォローワーとしての腕の見せ所だと思います。

③チームのメンバーと共有する。

上司の考え、実行の方策など、目標達成に必要なことはチームのメンバーとも共有します。
リーダーは組織を引っ張っていかなければなりませんが、あなただけが積極的ではうまく前には動きません。
チームのメンバー全員が同じ方向に進んでいくよう、お互いに認識の共有を図っていきます。
この部分は、フォローワーの中にある小さなリーダーシップのようなものでしょうか。

④適時にリーダーに報告する。

目標に向かって行動を開始したら、その状況についてリーダーに適時に報告します。
これにより、リーダーは現状を理解し、うまくいっていない時はその対策を考えられるようになるからです。
この時に、あなたに問題解決策や、何か名案があれば積極的に意見具申することも忘れずに。

自衛隊で経験したフォロワーシップ

陸上自衛隊では、幹部候補生学校を卒業して隊付期間(部隊での研修期間のようなもの)が終わると、部下をもつ小隊長になるのが普通です。
「あれ?それって最初からリーダーってことじゃん」と思われるかもしれませんが、ちょっと違います。
小隊長になるまでの幹部候補生学校と、その後の職種学校での幹部初級課程(通称BOC)で、擬似的にですがフォローワーの立場を経験します。
そもそも、小隊長の上には中隊長がいるので、小部隊のリーダーと言えどフォローワーであることには変わりませんが。

それはさておき、幹部候補生学校などでの9ヶ月程度の教育期間中に、学生を中心に部隊編成を組んで訓練をしたり、指導法の実習などを行いますが、その際に、学生が指揮官役(リーダー役)をやったり、その部下役をやることがあります。
学生数がそこそこ多いので、教育期間中にリーダー役をやることは1〜2回程度で、多くの場合は部下役です。
指揮官の役職を当てられなかったときは正直ホッとしたものでしたが、僕が学生の頃に教官から言われた言葉が印象的でした。

指揮官役以外の時こそ大事。組織の一員として指揮官をどう補佐すれば任務達成できるのか。どう動けば指揮官の助けになるのか。これをよく考えて補佐役に徹しなさい。」

これにはちょっとハッとさせれましたね。
役職についていない時は、言われるがままに動けばいいと思っていたので。

そこで、組織の一員としてどう振る舞うべきかを考えて行動することにしました。
そのためには、指揮官(リーダー)が達成したいことは何か、どういうプロセスで達成しようとしているのかについて、自分なりに考えて理解しなければなりません。
もし、これが十分に理解できない場合は、指揮官に質問します。
また、自分に何か考えがあれば意見具申してみます。
もちろん、同期とはいえ「指揮官」なので、相手の立場を尊重しつつ。

当然のことながら、質問しても指揮官の考えを十分に理解できなかったり、また、自分の意見が採用されないことも多々ありますが、そこで感情的になるのではなく、全力で理解するように努力しました。

指揮官役の学生の意図などについて、同期と「きっとこう考えているのでは」みたいな感じで、なんとなく議論したりしていましたが、これを通じて部下役同士で認識の共有を図っていましたね。

そして実際に攻撃や防御といった部隊行動が始まると、自分の担当正面の状況について大事だと思うことを報告しますが、常に指揮官の”痒いところに手が届く”ような報告ではなかったです。
一つの訓練が終わった後で、指揮官役の学生から「もっと戦況について報告が欲しかった」とか、「状況判断に不要な報告が多かった」という所見を聞かされると、自分達が部下として十分に機能していなかったことを思い知らされ、フォローワーの難しさを痛感しました。

以上は、陸上自衛隊隊の学校教育おけるフォローワーシップの疑似体験でしたが、教育修了後に部隊に戻り、小隊長や中隊長として勤務する際に大いに役立つものでした。

フォローワーに徹したからこそ”良きリーダー”に

疑似体験であっても、フォローワーとしての立場を全うすることは、リーダーシップをとる立場になったときに有益です。
「自分の意図を真に理解してもらうためには」とか、「どんな報告をどのタイミングで求めるべきか」とか色々と考えられるようになります。
また、意見不採用となった部下に対するフォローの必要性も認識できるでしょう。
これらはリーダーとして必要な要素。
「良きリーダーは良きフォローワーでもあった。」
僕はそう思います。
皆さんの会社の管理職研修などに、このフォローワーに徹する疑似体験を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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