悲観的に準備して大胆に実行する〜指揮官にも幕僚にも大事な心構え

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楽観的であることはいつでも良いこととは限らない

自衛官から民間企業の管理職に転職して数年が経ちました。
この間、企業における意思決定というものに何度か立ち会う機会がありましたが、「自衛隊とずいぶん違うな〜」というのが正直なところ。

意思決定といってもその軽重はさまざまでしたが、会社の場合は自衛隊と異なり、「まぁ、大丈夫だろう」とか、「お客さんはきっとこっちを選んでくれるよ」という、常にこちら側が描いたシナリオ通りに進むであろうという、楽観的な雰囲気に支配されていることが多かったです。

特に僕が所属する部署は、何か決めるときは楽観的に判断することがほとんど。
時々「もし状況が変わってシナリオ通りに進まなかったら?」とか、ちょいちょい言ってはみるものの、「これからチャレンジしようとするときに、暗い話はやめてよ〜」と言われて、それ以上議論が進むことはありません。
一方で計画した営業活動を実行する段階になると、「他社が変わった動きをしている」、「お客さんの考えが変わってきたかも」と色々心配し始め、最後は「想定と違うからやめておこう」となったりします。

で、この部署の営業成績はというと・・・
ここ数年ずっと赤字(泣)
もちろん、赤字になってしまう原因はさまざまだと思いますが、この楽観的考えに基づく意思決定も一つの要因だと考えます。

というわけで、今回はミリタリーの世界における意思決定と、その後のアクションの基本的な心構え、「悲観的に準備して大胆に実行する」について解説します。
これは指揮官、幕僚に共通する重要な心構えですので、マネージャー層以外にも参考になろうかと思います。

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計画段階では常に最悪の事態を想定する

作戦計画を作る際、まず作戦構想を策定します。
作戦構想とは、「いつ、何のために、どういうふうに攻撃して、どこを奪取するか」といった、作戦の柱になるようなものです。
この策定にあたっては各種見積もりを行うのですが、特に敵の可能行動を導き出す情報見積と、こちらの行動方針を決める作戦見積が大事になってきます。

情報見積は別の記事に解説していますので、そちらを参照してください。
(リンクを記事の最後に載せておきます。)

作戦見積では、こちらの行動のオプションをいくつか案出します。
分かりやすく例示すると、「A道沿いに攻撃する」、「B道沿いに攻撃する」といった感じです。
この際、それぞれのオプションの狙いも明確にしておきます。
例えば「A道沿いはとにかく早く目標奪取」とか、「B道沿いはゆっくりでも損耗を最小限に抑えて確実に」のように。

で、ここからが本題。
情報見積で案出した敵の可能行動と、こちらの行動のオプションをそれぞれ掛け合わせて、戦闘をシミュレーションし、それぞれの行動の利点・不利点、処置すべき事項を明らかにしていきます。
これを「行動方針の分析」と呼びますが、この時に、こちらの手の内を100%熟知した敵との戦闘をシミュレーションするのがキモ。
下の図をご覧ください。

これは敵が防御、我が攻撃の場合を表しています。
敵の可能行動はア山ーイ山を第一線陣地とするE-1と、ウ山ーエ山を第一線陣地とするE-2があります。
これに対して、こちらの行動オプションは、A道沿いに攻撃するO-1、B道沿いに攻撃するO-2の2つ。
なので、戦闘シミュレーションは
E-1 対 O-1
E-1 対 O-2
E-2 対 O-1
E-2 対 O-2
の4パターン。
それぞれ、攻撃準備〜第一線陣地への攻撃〜第一線突破以降の攻撃〜最終目標攻撃までを時系列で、双方の部隊の動きと戦い方を詳細にシミュレーションします。
その時に、想定通りに進まない最悪のシナリオでシミュレーションを行わなければなりません。

例えば、「こちらが攻撃準備中に砲弾の雨を降らせ、戦闘展開ができないようにする。」とか。
これに対して我は、「敵からこちらの行動が見えないように煙覆(えんぷく:発煙弾で目隠しすること)をかける」で対抗し、これに対して敵が「事前に砲兵部隊の観測員を潜伏させておき、砲弾の誘導ができるようにする」で対抗し、これに対して我は「一部の部隊を偽展開させ、主力の展開位置を秘匿する」で対抗し、これに対し・・・

といった具合に。
もちろん、戦術的常識や、敵と我の編成・装備からできる範囲のことで想定しますが、常に「敵があんなことやってきたら、こちらの対策が有効でなかったら・・」というように、悲観的な心構えで検討することが大事です。
決して、「まぁ、うまういくでしょう」とか、「敵はこんなことしないだろう」といった、我にとって都合のいいように考えてはいけません。

このシミュレーションは、敵の対抗策が出尽くすまでやってみるので、ものすごく時間がかかることもあります。
また、どうやってもこちらに有効な策がない場合も出てきますが、それはリスクとして、行動オプションを比較するときの一つの指標になります。

このシミュレーションを通じて、敵の可能行動に対して最も有利に戦える行動オプションが明確になり、それが作戦構想となって、最後に細部を具体化した作戦計画となっていくのです。

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実行する段階では無闇に立ち止まらない

作戦計画を策定したら、いよいよ行動する段階です。
実際に行動に移すと、構想策定段階では予想だにしなかった事態が発生したりします。
「あんなに検討したのに〜」って具合に。
決してシミュレーション通りにはなりません。

そういう事態に陥ると、「やっぱりこのやり方は間違っていたのかな?」と臆病になってしまいがち。
しかし、動き出した後でオロオロしてしまうのはNGです。

「シミュレーション通りではなかった」は「シミュレーションは意味がなかった」ということではありません。
行動オプションの検討段階で案出した様々な対策を思い出し、今、目の前にある状況に適合するようアレンジしながら、ためらうことなく目標達成を目指すのです。

側から見ると大胆な行動に見えるかもしれませんが、それでいいのです。

しかし、ここで注意が必要。
もし、「最初に置いた前提が間違っていた」とか、「目標そのものの設定が状況に合っていない」と感じたら、行動中止を考える必要があります。
例えば、敵の編成・装備が想定とまるっきり違っていて、相対戦闘力上敵が圧倒的に優位であることが判明した場合など。

ここで「大胆な行動で事態を打開するんだ!」と判断を誤ると、無益な突撃を繰り返して全滅する羽目に・・・
この判断、非常に難しいところですが。

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まとめ

いかがだったでしょうか?
準備段階では悲観的に、「うまくいかなかったらどうしよう・・・」と色々なことを考え対策を打ち、行動し始めたら、例え予期の通りに進まなくても、大胆な決心と行動で目標達成に邁進する。
ミリタリーの世界の心構えを、皆さんの仕事でもぜひお試しください。

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