「部下が年上ばかり・・・」でも大丈夫!それが当たり前の陸自初級幹部の年上部下との接し方

若くして管理職、年上の部下ばかりに!

若くして管理職になると、部下の中には自分よりも年上がいたりしますよね。
今までお世話になっていた人もいれば、現場の中では神のように崇められているベテランもいたり。
そんなメンバーの中で、上司として振る舞うのにちょっと抵抗感がある方もいるのではないでしょうか?
「上司としてチームのタスクを切り盛りしていかなければ!」と思いつつも、部下が年上だと、仕事をアサインするのも心苦しく、仕方がないので自らがプレーヤーとして業務を処理することもしばしば・・・
なんてこともあるでしょう。
でも、それでは組織の要求を満たすような質の高い仕事はできません。
年上の部下にどう接して、上司としてチームを牽引していくか?
そんな悩みを持つ方には、陸上自衛隊の初級幹部の経験が参考になるかもしれません。

初級幹部時代は部下の8割は年上

僕は24歳の時に戦車小隊長になりましたが、当時、部下は15人いて、そのうちなんと12人が自分よりも年上。
一番年齢が離れている人は50歳オーバーで、小隊の平均年齢は35歳くらいだったと思います。
しかし、陸上自衛隊ではこれは例外でもなんでもなく、当たり前のことなんです。
そして、そんなベテランたちを小隊長として引っ張っていかなければならないのですが、小隊の指揮はもちろんのこと、自分の戦車の乗員を指揮した経験すらないに等しい状態でした。
さらには、中隊の日々の業務の立案・指示を行う運用訓練幹部としてのタスクもあったのですが、戦車中隊の日常業務に対する知見もほとんどなかったのです。
そんなかで組織を動かしていくためには、ベテランである年上部下からの支えが必要でした。

基本スタンスは「敬意を持つこと」と「好かれようとしない」こと

年長者は自分よりも経験値が高いです。
もちろん、経験が全てではありませんが、経験していないことに対して、頭も体も反応しない場合もありますよね。
なので、彼らが持っている経験値に対して敬意を持つことが基本。
「蓄積された経験は組織の宝だ」という思い持って、年上部下たちと接しましょう。

一方で注意すべきは、決して彼らから好かれようとしてはならないということ。
人は嫌われるよりも好かれたいと思うものですが、年上部下を味方につけたいあまりに、迎合的になったり、ご機嫌取りのような振る舞いになっては逆効果。
プロ意識の高いベテランは、そんなあなたの下心を見抜き、あなたを信頼しなくなってしまいますよ。

年上部下の経験値に敬意を払いつつ、「彼らの知見をいかに有効活用していくか?」ということに注力しましょう。

接し方その1:プロフェッショナルな意識を持つ人に対しては心を開いて頼る

プロフェッショナルな意識を持つ隊員は、小隊長など上司の年齢に関係なく、その職責や組織内でのそれぞれの役割を理解しています。
そんな部下に対しては、心を開いて本音ベースで相談しても大丈夫です。
建前や自身の職務上の立場を前面に出してしまうよりは、むしろ本音で話したほうが助けてくれる場合が多いです。
本音で話すというと、部下の前で弱みを見せるようで抵抗感のある人もいるかもしれませんが、「弱み」と「本音」は全く異なるものです。
弱みには、言い訳的なものや、オロオロ感が入ってきますが、本音にはその要素はありません。
例えば、「訓練のやり方が2通りあり、どっちでやるべきが正直自分は迷っています。Aというやり方の利点と欠点は・・・で、Bの場合は・・・です。◯◯曹長はどう思いますか?」と聞くのが本音ベース。
このように接すればほとんどの場合、経験値に基づいた的確なアドバイスがもらえるはずです。

プロ意識の高い人は、自らの経験を組織を良くしていこうとする方向に使います。
なので、そんな人を見極めたら心を開いて頼ってみましょう。
相手も力になれることを喜ぶはずです。

接し方その2:悪意ある人には毅然とした態度で接する

一方で、ベテランの中には厄介な人も一定数はいます。
感覚的には、どんな組織にもだいたい2割くらいは悪意のある人がいるのが普通です。
ここでいう「厄介な人」とか「悪意のある人」というのは、相手の経験値が低いことをいいことに、自身の蓄積された経験を利己的に使おうとする人のことを指します。
でも、そういう人を初見で見抜くことは難しいんですよね。
なぜなら、「悩んでいるあなたを助けたい」とか「チームをなんとかしたい」的な態度で接してきたりするからです。
でも、よくよく話を聞いていると気づきます。
「あー、この人は自分の利益しか考えていないや」と。
そんな時は、その場を誤魔化して過ごすのではなく、毅然とした態度を取ることが大事です。
「それは××2曹ご自身にはいいことかもしれませんが、全体的にはマイナスです。なので不同意です。」のように。
そんな態度をとると嫌われてしまうかもしれません。
みんなとうまく付き合えればそれに越したことはないのですが、上司であるあなたの役割は、全体最適化とチームを任務達成に導くこと。
これがひいては、個々の幸福や充実感に結びつくので。
だから妥協するのではなく、毅然とした態度で接することが大事です。

全てはチームの任務完遂のため

年上部下との接し方について、僕の経験をもとに書いてみました。
このほかにも、接し方は様々あると思います。
いずれにせよ、彼らの経験を生かしつつ、「全てはチームの任務完遂のため」を基準に部下マネージメントを行うよう留意すれば、自分なりのうまい接し方ができるようになるかもしれません。
みなさんの参考になれば幸いです。

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