できるリーダーの条件:陸自のリーダーシップ 指揮官の最も重要な仕事は状況を判断して決心すること

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状況を判断し決心できるのは指揮官のみ

皆さんの会社で何か重要な物事を決めるとき、誰がどのように決心していますか。
案件の重要度によって、社長とか、事業部長、部長などの管理職が判断して決心していると思いますが、個人的には会社の管理職の方による状況判断や決心は、ミリタリーに比べるとちょっと曖昧な印象を受けます。
経営会議や事業部の会議でワイワイ議論したりする場合もあれば、御前会議のように儀式的だったりで、いずれにせよ、誰がどう判断して、何を決定(決心)したのかは、その場の雰囲気で読み取らなければならないこともしばしば。
一方、自衛隊では、幕僚(スタッフ)がそれぞれの立場から意見を出しますが、最終的には指揮官が状況を判断して決心し、明確な方針を部下に示すので、「あの発言の真意はこうだったに違いない」とか、「否定的なことを言ってたけど、おそらくGoサインだ」のように、雰囲気で読み取ったりする必要はありません。
と言うわけで、今回は、指揮官として最も重要なお仕事といっても過言ではない、「状況判断」と「決心」について解説します。
この解説も陸上自衛隊の教範(教科書)である、野外令の記述に沿って行います。

状況判断の基本

状況判断とは、状況を把握してどう対処するかを決める(決心する)ことですが、自分の組織に与えられた任務をベースに、部下組織の特性、時間的・空間的に考慮すべき事項を念頭に行うのが基本。
そして、状況判断は一度やったら終わりではなく、さまざまな変化に対応できるよう、継続的に行い続ける必要があります。
つまり、最初に「今の状況はこうだな」と判断し、「よし、こうしよう!」と決心したとしても、その前提が変わってきたら見直さなければならないということです。

状況判断の要領

状況判断は以下の手順で行います。

  1. 任務を分析して達成すべき目標を明らかにする。
  2. 目標を達成するための行動方針をいくつか考える。
  3. それぞれの行動方針を分析して最良の行動方針を選定する。
  4. 結論として「誰が、いつ、何を、何のために、どうやって」を示す。

任務を分析して達成すべき目標を明らかにする。

任務分析は、上級指揮官(上司ですね)から示された任務で中で、自分の地位と役割を明らかにすることから始めます。
地位と役割を踏まえた上で、任務の特質、自分を取り巻く環境の特質を分析します。
会社の営業で言えば、市場の特質、競合の特質、会社の特質、時間的要素など。
ここは3C分析に似ていますね。
ただ、3C分析と違うのは、この任務分析で具体的に達成すべき目標を明らかにすることです。
ここで導き出した「具体的に達成すべき目標」が、その後の思考過程の柱となります。

目標を達成するための行動方針を列挙する。

地域(市場)の特性、敵(競合)の状況、自分の部隊(自社)の状況、相対戦闘力(自社と競合の比較、SWOT分析に近いかもしれません)、敵(競合)の可能行動を検討して、実行可能な行動方針をいくつか案出します。
この時に、敵がとり得る行動(可動行動と言います。)についても数パターン案出しておくことを忘れずに。

行動方針を分析して最良の行動方針を選定する。

行動方針の分析では、列挙した自分の行動方針に、敵の可能行動を組み合わせて戦いをシミュレーションし、その利点や欠点、必要な処置・対策を明らかにしていきます。
例えば、自分の行動方針が3つ(案1〜案3)あり、敵の可能行動が2つあった場合、

案1 VS 敵の可能行動1と2
案2 VS 敵の可能行動1と2
案3 VS 敵の可能行動1と2

を、行動開始から目標達成まで時系列でシミュレーションするということです。
これにより、それぞれの行動方針の特性が明らかになり、どれが目標達成のために最も最適かが分かるようになります。
ただ、それぞれの行動方針に甲乙つけ難い時もありますが、その場合は「何を重視するか」で最良の行動方針を決定すればOKです。
一例を挙げれば、時間的要素とか、確実性などです。
これらの重視項目も、それぞれの行動方針の特性を知る中で自然と明らかになっていきます。

結論

目標達成のために最適な行動方針を決定したら、あとはそれを部下に自分の決心事項として示します。
この時に、1H5Wで示すことに留意して下さい。
陸上自衛隊では、以下のような感じで示しています。

一例:攻撃の場合
「師団は(誰が)、8月1日0600(いつ)攻撃(何を)開始、A道沿いに攻撃して所在の敵を撃破し、◯◯一帯を確保して(どうやって)、方面隊主力の集結を掩護(何のため)する。」

決心で大事なこと

指揮官の決心は、「ここぞ!」という時に、チャンスを逃さないように強固な意志を持って行わなければなりません。
野外令では、「状況の不明等により決心をためらってはならない」とされています。
また、指揮官の決心が揺らぐと、指揮が混乱し部下も迷ったり疑念を持ったりします。
なので、決心した時の前提条件に重大な変化がない限り、みだりに変更してはいけません。
でも、予測できない状況の変化に応じる柔軟性とのバランスも大事。
ここが難しいポイントですね。
ある意味、センスが問われる部分かもしれません。

皆さんのご参考になれば幸いです。

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